藤野沙羽子 48歳
「ご飯作りに来たわよ」
夕方の6時過ぎ、少しぽっちゃりした女性が栗毛を揺らしながらマンションのリビング(LDK)に入ってくる。
余所の家だろうが、我が物顔でズカズカと入り、左手に下げた買い物袋をキッチンにドンと置く。
「よしお君、お風呂入っちゃいなさい。その間にお夕飯作っとくから」
嫁の麻美が泊まりがけの同窓会へ行ったため、義母が夕食を作りに来てくれた。
「すいませんお義母さん」
僕は申し訳ないと頭を下げる。
「ふふっ、いいのよ。お父さんと喧嘩中だから」
そう言うと義母は白い歯を輝かせる。
嫁のいない仄暗い部屋に笑顔が咲き、彩りをくれる。
――彼女の名は藤野沙羽子さん。
僕 ・・・・・・・ 続きを読む










